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法令・判例集
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消費者(クレサラ被害者)にとって、役に立つ「法例」、「判例」を紹介していきます。

法例
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判例
《貸金業規制43条関係》
《期限の利益に関するもの》
《貸付け・与信に関するもの(過剰与信等)》
《債権取立・執行等に関するもの》
《非弁提携弁護士に関するもの》
《商工ローン・保証に関する判例》
《サラ金の取引経過開示義務》

※掲載紙
 判時…『判例時報』 判タ…『判例タイムス』 金法…『金融法務事情』
 金商…『金融・商事判例』 法ニュース…『消費者法ニュース』
 「高利商工ローンといかにたたかうか」…『高利商工ローンといかにたたかうか』(商工ローン対策会議みやぎ)


○貸金業規制43条関連

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
貸金業の規制等に関する法律43条の「みなし弁済」規定の適用を受けるためには、同法18条2項(振込等による支払い)の場合においても、同条1項所定の受取証の交付を要するとした事例 京都簡裁 1984/8/8 判時1152−158
判タ539−385
貸金業規制法43条の「みなし弁済」規定の適用をうけるためには、同法18条2項の場合でも同条1項所定の書類の交付を要するとされた事例 佐世保簡裁 1985/7/23 判時1187−121
貸金業者が業として貸金をなすに際し借主に交付した書面(借入限度額設定契約書)が貸金業規制法17条の要件を具備する書面には当たらないとして、同法43条の適用が否定された。 佐世保簡裁 1985/9/24 判タ577−55
貸金業規制法43条の「みなし弁済」規定の適用をうけるためには、(1)同法17条に定める各記載の事項(省令事項を含む)をすべて記載した契約書面の交付を要する、(2)同法18条2項の場合でも同条1項所定の書類の交付を要するとされた事例 京都地裁 1988/8/19 判時1318−106
(1)天引利息については、任意性を認めることができないから貸金業規制法43条の適用はなく、又、利息を支払わなければ返済期の猶予や再貸付けをしないというのは、利息の天引きと同じ意味を持ち、利息の支払いの任意性がないとして同条の適用を否定した。
(2)契約書面の弁済日が真の弁済日と異なる場合には「返済期間」の記載がないものといわざるを得ないので、法定書面の交付がないものとして同条の適用を否定した事例
東京地裁 1990/12/10 判タ748−169
クレジットカード利用契約に基づくキャッシングについて、口座振替による弁済について貸金業規制法18条書面の交付が必要か否かが問題となり、同条2項の書面の交付を欠いている以上、同法43条の適用はないとされた事例 釧路地裁 1996/5/14 判時1620−132
現金自動貸付返済機(ATM)を使用した返済が、貸金業規制法43条に基づく「みなし弁済」とは認められないとして、利用者からの不当利得返還請求を認容した事例 東京地裁 1997/2/21 判時1624−116
判タ953−280
金法1483−54
金商1019−31

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○期限の利益に関するもの

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
支払いを遅延したときは期限の利益を失う旨の約定がある割賦返済約定の金銭消費貸借において、割賦支払いを遅延した後も、貸主が元金全額と遅延損害金の請求をしたことはなく利息の支払いを請求し、これを受領していた事実から黙示の合意により期限の利益を再度付与したものと認められた事例 佐世保簡裁 1985/9/24 判タ577−55
期限の利益の喪失約款があるのに、業者が何等の留保もなく毎月の支払金を受領していたなどの事実関係がある場合、業者は既に発生した延滞の効果を免責したものと推認し、あるいは新たな黙示の合意が成立したものと認定すべきとした事例 宇都宮簡裁 1995/1/27 法ニュース24−53

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○貸付け・与信に関するもの(過剰与信等)

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
信販会社の主婦に対する立替金及び貸金につき過剰与信であるとして(債務者の返済能力についての調査判断に重大な誤りがあった場合)信義則の適用により債務額を約4分の3に限定した事例 釧路簡裁 1994/3/16 判タ842−89
与信管理・信用調査がずさんな貸金業者につき、あえて過剰な貸付けを行いながら、貸金残元金と遅延損害金の回収を求めるのは信義則上容認できないとして、残元金の7割のみ(遅延損害金の請求は棄却)の支払いを命じた事例 札幌簡裁 1995/3/17 判時1555−177
判タ890−149
貸金業者の貸付が、債務者の実際の返済能力が少ないことを知りつつこれを無視し、作為的に返済能力を大きく見せかけてなしたものであるから、貸金業規制法13条及び大蔵省銀行局長通達に違反した過剰貸付けであるとして、貸金業者の貸付金80パーセントを超える部分の請求は権利の濫用だと判断した事例 大分簡裁 1995/7/18 法ニュース25−32

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○債権取立・執行等に関するもの

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
利息制限法によれば既に過払いになっていて残債務がないにもかかわらず、サラ金業者が暴行を加えるなどの違法な取立行為をしたことについて、慰謝料30万円の支払いを認めた事例 福岡地裁小倉支部 1982/7/16 判時1057−117
サラ金業者が玄関前に「借りた金を返してください・・・」という貼り紙をした取立行為を違法として、慰謝料10万円の支払いを命じた事例 新潟地裁 1982/7/29 判時1057−117
金融業者が市役所の上司等に債務者への貸金の事実を架電したり、面会を求めたりした事実を不法行為として、金80万円の慰謝料支払いを命じた事例 奈良地裁 1985/9/6 判タ605−88
弁護士が任意整理の受任通知書を債権者に送付した後、わずか一週間後に、公正証書に基づいて債権者が給与差押を行った案件について不法行為を認めた事例 東京高裁 1997/6/10 判時1057−117
判タ966−243
法ニュース33−46
貸金業者の従業員が原告に対してした、原告の母親の債務の返済の働きかけ、及び同債務返済のための貸付が不法行為を構成するとして、財産的損害として、原告の被告に対する返済額相当額、慰謝料として20万円、弁護士費用として5万円の損害を認めた事例 大阪地裁 1998/1/29 判時1643−166
判タ974−158

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○非弁提携弁護士に関するもの

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
「たとえ(弁護士によって締結された)和解契約といえども強制法規である利息制限法に違反して合意することは許されない」との理由で、提携弁護士が貸金業者となした和解を無効とした事例 東京簡裁 1997/7/16 判例集未登載
「通常弁護士に事務処理を依頼するにあたっては弁護士において公正かつ誠実に職務を遂行してくれるとの期待が前提となっているものであり、弁護士であれば利息制限法所定の制限利率による引直しの計算について熟知しているものであることを考えると、原告(多重債務者)の委任契約は、錯誤により無効であると解するのが相当である。したがって、仮に(多重債務者・貸金業者間の)和解契約が成立しているとしても、その効果は原告に帰属しない。」との理由で、提携弁護士が貸金業者とした和解を無効とした事例 東京地裁八王子支部 1999/8/4 判例集未登載
「これに対し、被告は、本件和解契約が弁護士の資格を有する者によって締結されているものであること、本件和解契約は被告が右和解交渉にあたった原告代理人の弁護士を信頼した上のものであることを主張するが・・・理由がない」として提携弁護士が貸金業者とした和解を無効とした事例 東京地裁 1999/9/28 判例集未登載

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○商工ローン・保証に関する判例

 
裁判所
判決・決定日
掲載紙
根保証契約につき詐欺を理由とする取消しの主張を認め(保証人から既存債務の有無について質問された相手業者の担当社員において既存債務がない旨の虚偽の回答をした)、かつ相手業者において担当者のした詐欺の事実を知らない旨の主張をすることが信義則に反し許されないとした事例 東京地裁 1992/3/6 判タ799−189
根保証承諾書には極度額500万円と記載されているが、当事者間においては100万円を限度として保証する旨の合意があったとして、保証債務が100万円を超えて存在しないことの確認が認められた。 仙台高裁秋田支部 1999/1/25 法ニュース39−37
(判例速報No.332)
(1)債務者に対する約束手形による切り替えを続けて貸し続けたことが、一連の貸付行為と認定
(2)相手業者の全額出資子会社がなした保証につき、保証金名目で取り立てていた金員は「みなし利息」と解するのが相当であると認定
(3)保証人に具体的な貸付金額、貸付利率、返済期間、返済回数等、貸金業規制法17条2項の書面が交付された事実は認められず、18条1項の書面が交付がないことは争いがないとして、「みなし弁済」の適用を否定した事例
横浜地裁川崎支部 1999/4/26 「高利商工ローンといかにたたかうか」89ページ
相手業者の手形による融資は全体として一つの継続的な取引と認めて、利息制限法による計算結果不当利得の返還を認めた判決 福岡地裁小倉支部 1999/10/26 法ニュース42−10
資金繰りに窮した業者(主債務者)が、相手業者からの1000万円以上の既存債務の額を秘して(黙秘していたことは相手業者の社員も承知していた)、根保証人に対して「200万円の保証でお願いしたい」と申し向けて根保証契約を締結させた事例。既存債務の額を黙秘することが欺罔に当たると認定し、第三者詐欺による取消しを認めた。 新潟地裁 1999/11/5 法ニュース42−89
(判例速報No.338)
極度額1000万円の連帯保証をしたものではあるが、保証契約締結時、主債務者が既存債務を秘して虚偽の説明をしたり、今後借りることはないと説明するのをその場にいた担当者が否定せず又、保証の対象が200万円の貸金のみであるとの誤信を助長するような言動があるので保証の意思表示には錯誤があり、重過失もないとして無効を認めた事例 高松高裁 1999/11/18 法ニュース42−86

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○サラ金の取引経過開示義務
 業者の取引経過の開示については、これを明らかにしない業者が多い。現在各地で業者からの取引開示についての争いがされているがその成果も少なくない。裁判や現場の実務で役立つ裁判や和解事例を紹介する。
 従来刊行物により公表されている判決として、富山地裁平成4年10月15日判決(判事1463号144頁、弁護士の不合理とも言えない和解案の呈示に検討すると答えて給料の差押をした事件で10万円の損害金を認めた事例)、東京高裁平成9年6月10日判決(判事1636号52頁)があるが、札幌地裁で新たな決定が出され、大阪では、不当利得返還請求と取引経過不開示に対する慰謝料の請求事件で、業者が弁護士や債務者などから開示請求があったときは速やかに全経過の開示をする義務を認める和解が成立した。


武富士の取引経過不開示に対して30万円の慰謝料を認めた決定
           (札幌地方裁判所 平成11年12月6日判決)

平成11年(ノ)第11号 過払金調停事件
      (本案 平成11年(ワ)第2238号 過払金請求事件)

   決  定
       札幌市中央区○○○○○
       原  告          A
       右訴訟代理人弁護士
                   山崎 俊彦
       東京都新宿区8丁目15番1号
       被告      株式会社武富士
       右代表者代表取締役
                   武井 保雄

   主  文
1 被告は、原告に対し、本件和解金128万2059円の支払義務のあることを認め、これを平成11年12月9日限り、原告代理人の銀行預金口座に送金する方法により支払う。
2 原告は、その余の請求を放棄する。
3 原告と被告との間には、他に債権債務がないことを相互に確認する。
4 訴訟費用及び調停費用は、各自の負担とする。

   事実及び理由
1 原告の請求
 被告は、原告に対し、金128万2059円及び内金98万2059円に対する平成11年7月31日から、内金30万円に対する同年9月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 請求の原因
 原告は、昭和62年6月18日から平成11年6月8日までの間、別紙計算書記載のとおり、被告から継続的に金銭を借り入れ、被告に借入金を返済した。
 前記の返済額について、利息制限法所定の割合による利息に、それを超えるものは元本に充当すると、平成11年6月8日時点で98万2059円が過払となった。
 原告は、平成11年7月30日、被告に対し、前項の過払金の返還を請求した。
 原告代理人は、平成11年6月22日、原告から債務整理の依頼を受け、そのころ、被告に対し、書面で取引内容の開示を求めた。しかし、被告は具体的な取引内容を開示せず、同年7月13日、原告代理人に対し、平成8年8月7日以降のみの取引の計算書を添付し、残債務が25万9595円(平成11年7月13日現在)であるとの書面を送付した。
 原告代理人は、平成11年7月14日、被告に電話をかけ、担当者に対し、原告の全取引経過の開示を求めたが、被告はこれに応じなかった。原告代理人は、同月21日、被告に電話をかけ、再度開示を求めたが、被告の対応は同様であった。
 原告は、平成11年9月8日、本件の本案訴訟を提起したが、被告は、その第1回口頭弁論期日において、はじめて原告の全取引経過を開示した。
 大蔵省銀行局長の通達は、貸金業者は債務者から取引内容の開示を求められた場合には、これに協力しなければならないことを定めている。被告は、原告から取引経過の開示を求められた場合には、これに協力する義務を負うところ、この義務に違反し、原告から全取引経過の開示を求められたにもかかわらず、本件の本案訴訟の第1回口頭弁論期日まで、原告の取引経過の開示をしなかった。
 その結果、原告は、不当な労力、時間と訴訟費用の負担を強いられた。これに対する慰謝料は、30万円を下回らない。
 よって、原告は、被告に対し、(1)不当利得返還請求権に基づき98万2059円及びこれに対する平成11年7月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(2)不法行為に基づく損害賠償として30万円及びこれに対する同年9月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

3 裁判所の判断
 当事者双方の意向、衡平、その他一切の事情を考慮して、民事調停法17条に基づき、主文のとおり、調停に代わる決定をする。

  平成11年12月6日
  札幌地方裁判所民事第1部
           裁判官 龍見 昇

『消費者法ニュース』 No.42 2000.1 より転載


 
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